天猫国際とはどんなモールなのか、出店するにはどうすればよいのか、気になりますよね。天猫国際とは、中国トップシェアのECサイトである天猫の海外向け越境ECモールのことです。天猫にはユニクロや無印良品、資生堂が、天猫国際には花王や任天堂、ドクターシーラボなどが出店しています。2020年の越境ECでの中国への輸出は1兆9499億円で前年比17.8%増加しており、今後の成長が確実視されている市場でもあります。本記事では、中国越境ECの代表格である天猫国際の概要や出店方法を解説します。越境ECでは、中国に法人を持たなくても出店できる大きな特徴があります。越境ECが導入され参入障壁が下がったことは、巨大な中国市場に進出したい企業の後押しとなっています。記事内では天猫国際に出店するための具体的な手順や必要資料をご紹介しているので、検討の際はぜひ参考にしてみてください。

目次

天猫国際とは、中国に進出したい海外企業のためのECプラットフォームです。アリババグループが2014年に運営を開始したECモールで、海外のブランドやメーカーが直接中国の消費者へ商品を販売できるようになりました。天猫国際を利用する海外企業は中国での法人設立や販売許可を取得せずに自社商品の宣伝・販売活動ができ、中国からの注文を自国で受け自国から商品を発送できるため、国内だけで販売業務を完結できるメリットがあります。中国の購入者への輸送方法としては、購入者へ直接配送する直送と、中国内の保税倉庫で在庫を保管しながら注文のたびに発送する保税区発送の2種類があります。保税区発送を利用すれば、注文を受けるまで税関手続きをすることなく現地で商品を保管でき、継続的な販売が見込める商品であれば即座に発送できるため、売れ筋商品の保管場所確保に適しています。

アリババグループのECサービスといえば、タオバオが思い浮かぶ人もいるかもしれませんね。タオバオこと淘宝網(タオバオワン)は、2003年に設立されたC2C(個人間取引)のためのECプラットフォームです。月間のモバイルアクティブユーザーは2020年3月の時点で8億4,000万人を超えており、中国最大のC2C型ECプラットフォームとなっています。(引用元:JETRO「中国EC市場と活用方法」)中国国内のインターネットユーザー数が約10億人と言われていますので、ネットユーザーのほとんどが淘宝網を個人間商品取引に利用している計算になります。淘宝網が個人を結びつけるプラットフォームであるのに対して、天猫国際は企業と個人を繋ぐプラットフォームとして運営されています。また、天猫国際では法人しか出店することができず、モール出店には審査があり、参入するのに高いハードルが課せられています。理由としては、淘宝網で問題視されている偽物や非正規での商品流入を規制し、利用者が信頼できる新たなプラットフォームを構築するためです。淘宝網が豊富な品揃えと低価格でシェアを獲得しているのに対して、天猫国際は商品の品質と安心を担保されているモールとして利用されています。アリババグループのバックヤードと厳しい審査を課した運営で、2021年の中国越境EC業界ではシェア26.7%となり業界トップのプラットフォームに成長しています。ユーザー層としては購入する商品にこだわりをもっている中間所得層がメインで、その多くが30歳未満の若者が中心となっています。

天猫国際は、天猫の海外用プラットフォームとして2014年に運営を開始しました。大きな違いとしては、天猫国際の場合は中国現地で法人を設立する必要がないということです。中国への進出を検討しているけれど現地で腰を据えて販売するまでには至っていない、海外に欲しい商品があるけど中国での購入が難しい、そんな企業と個人のニーズを満たすプラットフォームとして天猫国際は誕生しました。中国法人の設立が必要ないため、天猫に出店する際に必要な輸入ライセンスや小売りライセンスなども必要ありません。天猫国際に出店する企業は自国の法人で自国の販売規則に沿った商品をそのまま中国の消費者へ届けることができるようになったのです。2019年に販売可能商品の規制緩和が発表され、美容関連・健康関連の商品が世界中から中国で販売されるようになりました。日本からも中国越境ECを通して全体で2兆円規模の輸出をしており、花王や任天堂、ドクターシーラボなど日本の大手企業をはじめ多くの日本企業が天猫国際を通じて中国進出を果たしています。

天猫は中国No.1のB2C型ECサイトであるだけでなく、世界でも淘宝網に続く世界No.2のECサイトとなっています。年間流通総額は55兆円を超えており、Amazonよりも大きい規模のサービスでもあります。日本のNo.1がAmazon Japanで年間流通総額4兆7,000億円となっているので、日本トップ企業の10倍以上の流通規模があることになります。中国での天猫はEC小売り売上シェアで全体の50%を獲得しており、圧倒的な存在感を示しています。天猫の月間アクティブユーザーは7億人を超えており、桁違いの市場であることが伺えますよね。ユーザー層として男女比率は5:5となっているものの、年代では20代が全体の50%を占めており、若者を中心としたユーザー構成となっています。また、2019年より販売可能商品の規制緩和やライブコマースの普及により、美容関連商品や健康関連商品の売上が軒並み成長しています。若者に人気の肌ケア商品は前年比52倍、オーガニックプロテイン食品・飲料は前年比2,000倍と、異常とも思える数値が実績として公表されています。また、経済産業省の公表資料によると、2021年時点で80兆円とされている世界のEC市場は2026年までに500兆円規模に到達し、今後5年間で6倍以上の成長が見込まれているそうです。中国のEC市場は間違いなく世界の市場成長をリードする存在になりますから、その中国のトップを独占する天猫の存在感は今後も続いていくことでしょう。

天猫のセールイベントいえば、毎年11月11日に開催される独身の日セールです。「デートに行かない人は買い物をしよう」というコンセプトでアリババグループが2009年から12年連続で開催しているイベントです。2021年の独身の日セール1日の売上は9兆4,500円となり過去最高額を記録しています。初めて独立の日セールを開催した2009年11月11日の売上は8.8億円でしたので、10,000倍以上の売上規模に成長していることになります。競合の流入で売上成長は過去に比べて鈍化していますが、依然として業界最大の販促イベントとなっています。

独身の日では、国別売上ランキングで日本製品が5年連続1位を獲得するほど人気です。美容機器ではヤーマン、化粧品では資生堂、アパレルではユニクロ、電子機器ではソニーやキャノンなどがジャンル別でも上位にランクインされています。日本ブランドの人気はまだまだ健在ですので、今後も日本企業の中国進出がすすんでいくことでしょう。

中国No.1のECプラットフォーム天猫国際に出店するための方法を解説します。

出店条件

出店条件としては、自国での実績が評価されます。具体的な条件は以下のとおり。

<天猫国際への出店条件>

  • 中国を除く外資系の企業である
  • 中国国外で登録商標がある
  • 中国国外で業務関連の許可がある、もしくは相応の資質がある
  • 経営状態が良好である

※条件の変更が実施される可能性があるので、申込み時に再度確認をお願いいたします。

なお、実際に出店の申請をする際は日本語の資料をそのまま提出する訳にはいきませんから、中国語もしくは英語訳した資料を準備しておきましょう。また、天猫国際では未だ中国に未入荷の海外有名ブランドに対して優先的に出店を認める条件も準備しており、費用の一部免除などの優遇を受けることが可能です。

<優先条件の例>

  • 海外店舗や海外向けB2Cサイトを運営している
  • 中国に未入荷の海外有名ブランドの取り扱いがある

出店形態

天猫国際に出店する際は3種類の店舗形態を選択します。

<出店形態>

  • 旗艦店・・・自社ブランドの商品のみを販売している店舗。メーカー直営店などががいとうします。
  • 専売店・・・ブランドから販売権利を授受している店舗。ブランド企業から販売委託を受けた中国国内の代理店店舗などが該当します。
  • 専営店・・・1ジャンル複数ブランドの商品を販売している店舗。自社ブランド含め複数のブランドから仕入れをおこなうセレクトショップ店舗が該当します。

店舗形態は消費者側からも確認することができるので、安心感で言えば直営の旗艦店が最も購入されやすい形態と言えるでしょう。とはいえセレクトショップであってもファンが付けば必ずしも形態にこだわる必要はありません。自社の販売戦略に合わせた形態を選択します。

必要資料

出店する際の必要資料ですが、店舗形態問わず共通して必要な資料と、店舗形態ごとの資料に分かれています。

<必要資料>

  • 共通資料・・・登記簿謄本、営業許可書、代表者の身分証、企業の銀行口座開設証明書、税務登録書
  • 旗艦店・・・商標登録証明書
  • 専売店・・・商標登録証明書、商標登録者が発行した独占授権書
  • 専営店・・・自社ブランドの場合は商標登録証明書、他社ブランドの場合は商標登録証明書及び販売代理授権書

費用

天猫国際に出店するための費用をご紹介します。初期費用と継続費用の2種類があります。

初期費用

初期費用は適切な店舗運営を担保するため、一定の保証金を支払う必要があります。店舗形態や商品ジャンルによって、5万元(約85万円)・10万元(約170万円)・15万元(225万円)に分かれています。

  • 旗艦店・・・独自ブランドの旗艦店は5万元、スーパーやオフラインモールの旗艦店は15万元
  • 専売店・・・すべての専売店が5万元
  • 専営店・・・天猫国際直営のもしくはフランチャイズの専営店は一律5万元、それ以外の専営店は家具系・自宅グッズ系は5万元でその他のジャンルの場合は10万元

詳しくは天猫国際の「規則」をご確認ください。

継続費用

天猫国際ではプラットフォームの使用料および売上に対する販売手数料の支払いがあります。

  • サービス手数料・・・3万元(約51万円)もしくは6万元(約102万円)の天猫国際プラットフォーム使用料。コスメや自動車部品などは3万元、アパレルや貴金属などは6万元となっています。
  • 販売手数料・・・商品によって0.5~5%の販売手数料の支払い。例えばアパレル5%、美容関連4%、自動車部品3%、書籍2%、クーポン0.5%です。

出店までの流れ

天猫国際に出店するまでの流れを確認しておきましょう。

  • 事前審査・・・出店を希望する店舗が条件を満たしているかを審査します。
  • 本審査・・・事前審査を通過した店舗の書類審査に移ります。
  • 店舗ページの作成・・・本審査に通過をすると、天猫国際上の店舗ページを作成することができます。
  • 店舗オープン・・・販売ページや商品登録が完了すれば、天猫国際での販売を開始できます。

以上が天猫国際での出店の流れになります。

天猫国際の概要と出店方法についてまとめます。

  • 天猫国際とは、中国最大のB2C型ECサイト天猫の海外向けサイト
  • 天猫国際では、商品の品質と信頼性が担保されている天猫のプラットフォームを自国から利用できる
  • 天猫国際に出店する際は条件を満たす企業にも審査があり、保証金や継続費用の支払いが生じる

出店までの審査は厳しいですが、ハードルを超えれば世界一の市場で商品販売をすることが可能になります。中国を中心にEC市場はますますの成長が期待されています。中国トップのECプラットフォームでの出店を検討の際は、ぜひ本記事で解説した方法を活用してみてくださいね。

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