中国越境ECで商品を中国に送る際にかかる関税にはどのようなものがあるのか、いくらかかるのか、気になりますよね。中国越境ECにかかる関税には「行郵税」「越境EC電商税」があり、商品の輸送方法によってどちらの関税が適用されるかが変わります。行郵税は商品によって13%・20%・50%の税率が、越境EC電商税では6.3%〜23.06%までの税率が課されます。越境EC電商税の方が税負担を抑えられるため良いように思えるかもしれません。ですが、優遇措置を得るには手続きにそれなりのハードルがあります。本記事では、中国越境ECの関税の概要や優遇税制の利用方法を解説します。これから中国越境ECへの進出をご検討の場合はぜひご確認ください。

目次

中国越境ECへ参入する際にかかる関税は「行郵税」と「越境EC電商税」の2つです。それぞれ解説します。

行郵税

1つ目の関税は、行郵税です。行郵税とは、中国国内の消費者個人が海外で購入して持ち帰って来た商品や、消費者個人が海外から輸入するなどして国内に郵送した商品に課せられる税金です。前提としては送付元も受取先も個人名義であることとされています。税額としては、商品カテゴリごとに1種・2種・3種と区分されており、それぞれ13%・20%・50%の税率が課せられます。ただし、商品購入額が1,000元(約18,000円)未満もしくは行郵税の額が50元未満の場合は免税となります。また、1回あたりの購入上限額が5,000元(約90,000円)、年間の購入限度額が26,000元(約468,000円)までとなっています。

<商品カテゴリ>

  • 1種(税率13%)・・・本、新聞、定期出版物、教育用映像物、デジタル機器、食料品、飲料、家具、おもちゃ、ゲーム、娯楽品、医薬品
  • 2種(税率20%)・・・ グルフ関連を除くスポーツ用品、釣具、繊維製品、電気製品、自転車、その他1種3種以外の製品
  • 3種(税率50%)・・・煙草、酒類、貴金属、ゴルフ関連用品、ブランド腕時計、ブランド化粧品

<行郵税の特徴>

  • 個人名義の取引であること
  • 商品カテゴリによって13%・20%・50%の税率が課される
  • 行郵税が50元以下の場合は免税
  • 倉庫等を経ず直接消費者の元へ送付
  • 1回の注文上限金額は5,000元、年間で26,000元

行郵税が50元以下で免税になるケースですが、例えば税率13%の商品カテゴリであれば、384元(約6,912円 ※1元18円で計算)未満の商品を販売する際に免税が適用になります。それ以上の価格設定をすると税金が発生してしまうので、対策をするなら購入上限を設定するか、購入を複数回に分けるなどの工夫が必要になります。

越境EC電商税

1つ目の関税は、越境EC電商税です。越境EC電商税とは、行郵税と同様中国国内の消費者個人が海外から輸入した商品に課される税金ですが、送付元が法人名義でも問題ないという特徴があります。税額としては、関税が0%・増値税と消費税の70%が課税金額となっており、ほとんどの商品で9.1%の税率となっています。※その他の税率が課される商品については以下<商品カテゴリ>にて詳述します。購入上限金額については行郵税と同様で、1回あたりの購入上限額は5,000元(約90,000円)、年間の購入限度額が26,000元(約468,000円)です。

<商品カテゴリ>

税率6.3%・・・キャノーラ油、オリーブオイル、あまに油、ナチュラルハニー、ペットフード

税率9.1%・・・上記・下記以外の商品

税率17.9%・・・ワイン、貴金属、ゴルフボール

税率23.06%・・・1枚数15元(約270)円以上のマスク、1g10元(約180円)以上のスキンケア商品、1枚5元(約90円)以上の化粧品シート、1g10元(約180円)以上の化粧品シート、1ml10元(約180円)以上の香水

<越境EC電商税の特徴>

  • 法人から個人への商品輸送が可能
  • 内訳としては、関税が0%、増値税と消費税の70%が課税
  • 商品カテゴリによって6.3%〜23.06%の税率が課される
  • 保税倉庫の利用が一般的
  • 1回の注文で5,000元、年間で26,000元

一部の高級化粧品以外はおおむね税率9.1%となっており、行郵税で課税されるよりもコストダウンが可能な税体系となっています。その名の通り、越境ECを利用する企業向けの優遇措置ともいえますね。

行郵税と越境EC電商税どちらが適用されるかは、輸送モデルによって変わります。

直送モデル(行郵税)

直送モデルを利用した場合に、行郵税が課税されます。直送モデルとは、中国人消費者の注文を日本で受け、日本から商品を直接購入者へ郵送する輸送モデルです。直送モデルのメリットとしては合法的に免税できる点や多くの商品を取り扱える点があります。対してデメリットとしては、注文の都度輸送するので、輸送コストと到着までの時間がかかることが挙げられます。

保税区モデル(越境EC電商税)

保税区モデルを利用した場合に、境EC電商税が課税されます。保税区モデルとは、日本から商品を中国の保税倉庫に送付しておいて、注文が入るたびに倉庫から消費者の元へ商品を届ける輸送モデルです。直送モデルに比べて配送時間の短縮になり合理的な納税ができます。デメリットとしては、税優遇を受けるための手続きが煩雑であることです。具体的な手続きとしては、中国の税関へ登記申請をすること、「注文・決済・物流」の3情報を税関と共有できるよう現地の決済システムを導入することの2点があります。

中国越境ECの関税についてまとめます。

  • 中国越境ECの関税は、行郵税と越境EC電商税
  • 中国越境ECの輸送モデルは、直送モデル(行郵税)と保税区モデル(越境EC電商税)

中国越境ECに参入するには、輸送方法によって課される税金が異なります。自社商品に適切な販売方法を検討するため、ぜひ越境ECサポート企業へご相談されてみてください。

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